その肩の痛み、本当に「五十肩」?放置する前に知っておきたい鑑別診断の大切さ
こんにちは。ウツミ整形外科医院のブログ担当です。 「肩が上がらない」「夜、肩が痛くて目が覚める」……そんなとき、多くの方が「年齢のせいかな(五十肩かな)」と一言で片付けてしまいがちです。
しかし、整形外科の診察室では、肩の痛みに対して非常に細かな「鑑別診断(似た症状の疾患を区別すること)」を行っています。なぜなら、原因によって治療法が180度異なることがあるからです。
今回は、肩の痛みに隠された代表的な疾患とその違いについてお話しします。
■「五十肩」と「腱板断裂」の大きな違い
肩が上がらない症状の代表格として「五十肩(肩関節周囲炎)」がありますが、よく似た症状に「腱板断裂(けんばんだんれつ)」があります。
- 五十肩(肩関節周囲炎): 肩を包む袋(関節包)が炎症を起こし、硬くなってしまう状態です。自分ではもちろん、他人に動かしてもらっても肩が固まって動きません。
- 腱板断裂: 肩を動かす筋肉の腱が切れてしまった状態です。自分では腕を上げられなくても、他人が支えてあげるとスッと上がることが多いのが特徴です。
もし腱板断裂だった場合、「ただの五十肩だから、痛いのを我慢して動かせば治る」と思い込んで無理をすると、断裂が広がってしまう危険があります。
■夜に激痛が走る「石灰沈着性腱板炎」
昨日まで何ともなかったのに、突然、夜も眠れないほどの激痛に襲われたなら、それは「石灰沈着」かもしれません。これは肩の腱の中にリン酸カルシウムが溜まるもので、激しい炎症を伴います。 この場合、リハビリよりも先に、まずは注射や薬による炎症の消去が最優先となります。
■当院で行う「精度の高い診断」のステップ
ウツミ整形外科医院では、これらを見分けるために以下のようなステップで診断を行っています。
- 丁寧な問診と触診: 「いつから、どう動かすと、どこが痛いか」を詳しく伺い、肩の可動域を数ミリ単位でチェックします。
- レントゲン検査: 骨の変形や、石灰の有無を確認します。
- 超音波(エコー)検査: 実はこれが非常に重要です。エコーを使えば、レントゲンには写らない「筋肉の切れ(腱板断裂)」や「炎症の腫れ」をリアルタイムで確認できます。
■「診断」があるからこそ「正しいリハビリ」ができる
前回のブログでお伝えした「運動療法」も、正しい診断があって初めて効果を発揮します。 例えば、肩が固まっている五十肩の方には「可動域を広げる訓練」が必要ですが、炎症が強すぎる時期の方に同じことをすれば逆効果になってしまいます。
「どこが、どう悪くなっているのか」という地図(診断)を持って、リハビリという目的地へ向かうこと。これが、痛みを長引かせないための最短ルートです。
■おわりに
「ただの肩こり」「年だから」と諦めている痛みの中に、適切な治療で劇的に改善する疾患が隠れていることは珍しくありません。
もし今、肩の痛みで好きなスポーツを諦めていたり、夜ぐっすり眠れなかったりするなら、ぜひ一度、当院にご相談ください。あなたの肩の状態を正しく見極め、最適な治療計画を一緒に立てていきましょう。
