股関節

【注意】転倒から始まる「寝たきり」を防ぐために。大腿骨頸部骨折の知っておきたい知識

こんにちは。ウツミ整形外科医院のブログ担当です。 「家の中でつまずいて、お尻をついただけなのに、立てなくなってしまった……」 このようなケースで最も頻度が高く、かつ慎重な対応が必要なのが**「大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折」**です。

大腿骨とは太ももの骨のこと。その付け根にある「頸部」という部分は、体重を支える重要な場所でありながら、構造的に細く、骨粗鬆症によって非常にもろくなりやすい部位でもあります。今回は、この骨折がなぜ「人生の転機」になりうるのか、その理由と対策をお話しします。

■なぜ「頸部」の骨折は治りにくいのか

大腿骨頸部には、骨を修復するために必要な栄養を運ぶ「血管」が通っています。しかし、この部分は骨膜(こつまく)という組織が薄いため、一度骨折してしまうと血流が途絶えやすく、骨が非常にくっつきにくいという特徴があります。

そのため、放置してしまうと「偽関節(ぎかんせつ)」といって骨がつながらない状態になったり、骨が壊死(えし)してしまったりすることがあります。「ただの打撲だと思って数日様子を見ていたら、実は折れていた」というケースも珍しくありません。

■「寝たきり」への連鎖を防ぐために

大腿骨頸部骨折が恐ろしいのは、骨折そのものよりも、その後に続く「二次的な衰え」です。 高齢者の方が強い痛みで歩けなくなり、ベッドの上での生活(安静)が続くと、わずか数日で以下のような変化が起こり始めます。

  • 筋力の低下: 1週間の安静で、足の筋肉は驚くほど細くなります。
  • 認知機能の低下: 環境の変化や活動量の減少により、認知症の症状が進むことがあります。
  • 合併症のリスク: 肺炎や血栓症(エコノミークラス症候群)など、全身の健康状態に悪影響を及ぼします。

だからこそ、整形外科では「いかに早く診断し、いかに早く離床(ベッドから離れること)させるか」を最優先に考えます。

■治療の基本:手術と早期リハビリテーション

多くの場合、この骨折には手術が必要となります。骨を金属で固定するか、あるいは人工の関節(人工骨頭)に入れ替えることで、早期に「体重をかけても大丈夫な状態」を作ります。

そして、手術の翌日からリハビリを開始するのが現代の標準的な治療です。 「痛いのにもう歩くの?」と思われるかもしれませんが、この「早期離床」こそが、寝たきりを防ぎ、元の生活に戻るための唯一にして最大の方法**なのです。

■予防のためにできること

骨折を防ぐには、二つの柱があります。

  1. 骨粗鬆症の治療: 定期的な骨密度検査を行い、骨を強くするお薬を継続すること。
  2. 環境の整備: 自宅の段差をなくす、手すりをつける、適切な靴を履くなど、転倒のリスクを最小限にすること。

■おわりに

大腿骨頸部骨折は、確かに大変な怪我です。しかし、適切な時期に適切な治療とリハビリを行うことで、再び自分の足で歩き、元の生活を取り戻している方はたくさんいらっしゃいます。

もし、ご家族や身近な方が転倒し「足の付け根を痛がっている」「立てない・歩けない」という状況があれば、一刻も早く整形外科を受診してください。 私たちは、皆様の「一生自分の足で歩く未来」を守るために、診断からリハビリまで全力で伴走いたします。

診療時間
9:00~12:30 / 16:00~18:00
休診日
日曜・祝日・水曜午後・第3土曜午後は休診
TEL初診ネット予約診療カレンダーアクセス