症状チェック あなたの症状は何ですか?

変形性足関節症

強い負担が長く掛かる力仕事、立ち仕事、歩き仕事の方や、走ったり歩いたりが多い方は足首の関節の軟骨が擦り減り変形して痛みを感じるようになることがあります。偏平足がある方は足首に偏った負荷が掛るため症状が出やすいです。負担を減らす足底板などを使って症状を軽減出来ますので専門医を受診してみましょう。

骨粗鬆症

骨がスカスカになる病気です。骨の形を支える骨の柱が細く弱くなっていきます。女性の場合、閉経を機に急激に骨密度が減少し、骨が脆くなる方が多く注意が必要です。ちょっと転んだら骨折してしまった、などの病的な骨折が起こりますが、骨折などを起こすまでは自覚症状は一切ありません。定期的に骨密度を検査し、必要があれば投薬によって骨密度を増やす治療をしましょう。

圧迫骨折

骨粗鬆症などの脊椎の強度が落ちた方が転倒したり、高い所から転落したり尻餅をついたりすることで、脊椎の椎体がつぶれてしまう骨折です。椎体はつぶれてしまうと膨らむことはないため、この骨折によって起こった変形は戻りません。受傷直後はそれ程つぶれていない方も多いのですが、立ったり座ったりして折れた椎体に荷重が掛かることで徐々につぶれて変形が進行する事が多い疾患です。骨が固まるまで折れた骨に負担をかけずに生活することが重要です。当院では入院加療の他に、装具による免荷とリハビリテーションによる早期の復帰を目指した治療を行っています。

上腕二頭筋長頭腱断裂

加齢や繰り返す負荷とともに擦り切れた上腕二頭筋の長頭腱が肩関節前方で切れてしまう疾患です。「バツン」「プチッ」などの音と共に腕に力が入らなくなったり、気がついたら腕の力こぶが下がっていたという形で気付くことが多いです。筋力の低下が問題になれば腱固定術を行います。

変形性股関節症

強い負担が長く掛かる力仕事、立ち仕事、歩き仕事の方や、走ったり歩いたりが多い方、腰が悪い方や過去に股関節の病気や怪我を患った方は股関節の軟骨が擦り減って痛みを感じるようになることがあります。長く歩くと股関節が痛んだりだるくなったり、立ち座りで股関節が痛む場合、この疾患が疑われます。ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注入(飲んでもあまり効果はありません)で症状が大きく改善できる可能性がありますし、現在では健康な股関節とほぼ変わりない機能の人工関節もあります。痛みを我慢する必要はありません。

変形性脊椎症

頸椎、胸椎、腰椎と症状の場所によって分けることもありますが、加齢や積み重なった負担によって脊椎は徐々に変性・変形していきます。頸、腰などの脊椎周囲に痛みが出たり、疲れやすくなったり、変形した脊椎が神経を刺激して腕や足にしびれや神経痛を感じたりといった症状が出ます。残念ながら病気ではないので、薬を飲んだら治るというものではありません。同じことをしても症状が出ないように脊椎を支える筋肉を鍛えたり、負荷の少ない動作を身に付けたりすることで症状は消失することも可能です。

腰部脊柱管狭窄症

腰には足を動かし、足の感覚を脳に伝える神経が通っています。この神経の通り道は腰椎の後ろにある骨のトンネルですが、椎間板や腰椎、靭帯の変性や肥厚、炎症などによってトンネルが狭くなり、足に痺れや痛み、脱力感や違和感、麻痺症状などを起こすことがあります。酷くなると手術が必要ですが、負担の掛かり難い生活動作を心掛け、腰を支える筋肉の柔軟性を保つことで症状を軽くすることが可能ですので、まずはリハビリを含めた治療をしてみましょう。

変形性膝関節症

強い負担が長く掛かる力仕事、立ち仕事、歩き仕事の方や、走ったり歩いたりが多い方は膝の関節の軟骨が擦り減って痛みを感じるようになることがあります。

階段や坂道の下りなどで膝の内側が痛い場合、正座やしゃがむのが痛い場合はこれが疑われます。膝が腫れる(水が貯まる)ことがあります。ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注入(飲んでもあまり効果はありません)で症状が大きく改善できる可能性がありますので早めに受診しましょう。

舟状骨骨折

転倒したりして手をついてから手首の腫れと痛みが引かない場合、受傷後にレントゲンを撮っていて骨折が見つかっていなくても、舟状骨が骨折している可能性があります。舟状骨とは手首の関節の掌側、母指の付け根辺りにある小さな骨で、レントゲン撮影では骨折がはっきり見えないことも多い骨です。受傷後の経過や、時間が経ってからのレントゲンの再撮影などで骨折が明らかになることも多いので「骨は大丈夫」と言われても、痛みや腫れが続くときは受診して診察を受けましょう。

屈筋腱腱鞘炎(ばね指)

繰り返し指を曲げたり、何かを握り続けたりすることで、指の付け根のところで起こる腱鞘炎です。使うと痛いのですが、無理をして使い続けると指がバネ仕掛けのように引っ掛かるようになります。局所麻酔の簡単な手術で治療可能です。悪化する前なら負担を減らして外用薬などで治療を行います。

関節リウマチ

手の指の関節が痛いというと「リウマチでは?」と不安になる方が多いようですが、関節リウマチというのは全身の関節で関節炎が多発する全身の病気です。手の指が腫れて痛い、朝に指がこわばる、というのは有名な症状ですが、関節リウマチでは他の全身の関節も複数で炎症が起こり、それが6週間以上続いています。長く続く関節痛に不安を感じたら受診して検査しましょう。

へバーデン結節

複数の手指の一番指先に近い関節が腫れて痛む病気です。進行すると変形して指先の向きが変わったり嚢腫が出来たりしますが、リウマチとは別の病気で全身に影響はありません。指先から2つ目の関節に変形と痛みを起こすブシャール結節という類似の病気もあります。

デゥケルヴァン腱鞘炎

母指を立てる(広げる)筋肉の腱が手首で擦れて炎症を起こした状態です。それほど強い力でなくても繰り返し使ったり、長時間の使ったりが原因で発症することも多いものです。PCのキーボード入力、トレイで食器を運ぶ、日常的な家事動作など些細な負担の積み重ねが原因になった患者さんも多いです。治療には原因となる動作を制限したり、負担を減らす工夫が必要です。装具や外用薬も有効ですのでご相談ください。

椎間板ヘルニア

頚椎の骨と骨の間にある椎間板がはみ出して神経を圧迫することで起こります。症状は頸ではなく腕や手に現れます。腕の違和感やしびれ、脱力感として出ることが多いです。MRIでヘルニアの有無が確認できますが、MRI画像で椎間板がはみ出していても症状がなく、運動やスポーツを休止する必要がないことも多いです。ヘルニアが脊髄を圧迫しはじめると細かい手作業が困難に感じたり、歩行が滑らかに出来ない、手足が思うように動かせないといった症状を起こすこともあります。

椎間板障害

椎間板は頚椎の間にあるクッションのような存在です。頚椎は頭を支えていますが、頭は重いので同じ姿勢で長時間作業したり、普段の姿勢が悪かったりすると椎間板は徐々に傷んでしまいます。傷んでくると椎間板は潰れ、頸や肩に張りや肩コリのような痛みを出します。椎間板ヘルニアになることもありますので注意が必要です。

偏平足・開帳足

足が疲れやすい、体重が掛ると足裏が痛いなどの症状が出ます。長く立っていたり歩いたりすることで症状を強く感じます。天然のサスペンションである足の裏のアーチ(土踏まずや足指の付け根)が潰れてしまった状態です。

アーチを失った分だけ体重や力の掛かり方が変わるので足首や膝に痛みが出たり、変形性足関節症や外反母趾の原因になったりします。足底板装具やリハビリによって治療を行います。

大腿骨頭すべり症

成長が盛んな時期に、大腿骨の骨頭が大腿骨からズレてしまう疾患です。徐々に股関節が痛くなり徐々に進む場合と、転んだり捻ったりした際に急に発生して股関節に強い痛みが出る場合があります。正しい位置に戻し、ズレないように手術で固定することで問題なく回復することも多い疾患ですが、放置したり、無理なマッサージを行うことで骨頭が壊死してしまうこともありますので早めに受診しましょう。

ペルテス病

成長中の股関節の骨頭に血が充分に通わなくなって壊死してしまう病気です。子供が怪我などの原因が無く股関節の痛みを訴えた場合は整形外科を受診しましょう。壊死してしまった骨頭は再生されますが、再生されるまでの間に潰れた形に変形してしまうことが問題になります。装具を用いた治療や、骨の形を調整する手術などで変形を最小限にする治療を行います。

発育性股関節形成不全

生まれた時に股関節が脱臼していたり、脱臼しやすい状態だったり、発育の過程で股関節が脱臼、亜脱臼を起こす状態の総称です。出生時から生後6カ月くらいまでの間に足(股関節)の開きが固い、左右で足の開きが違う、などの兆候で気付くこともあります。幼児の骨や関節はまだ形が整っていませんので、股関節が脱臼しない良い形になるように注意深く気遣って成長させることで問題のない股関節になることも多い疾患です。骨盤の受け皿の造りが浅いなど形態に問題が大きい場合には骨を矯正する手術などを行います。

単純性股関節炎

子供の股関節痛の原因の多くがこれです。10歳以下の小児に多く、明らかな原因なく股関節が痛み出します。歩けないほど痛むことも多いですが、適切にケアすれば特に問題なく治癒します。他の疾患がないことを確認する必要がありますので自分で判断せず受診しましょう。

側弯症

脊椎の列が横に曲がります。特別な原因無く乳幼児期から成長期が終わるまでの間に発症することが多い疾患です。姿勢が悪い、真っ直ぐ立たない、首が曲がっている、右の(左の)背中が出っ張っている、などと言われて気付くことが多いです。曲がる角度によって治療が変わります。進行に応じて装具で矯正したり、手術を行ったりします。

内反肘・外反肘

肘で腕が内や外に反り曲がっている変形です。外に反る肘は「猿腕」と言われたりしますが、軽度の場合は肘の機能に問題がないので本人は気にならないことも多いです。小児期の肘周囲の外傷をきっかけに起こることが多く、変形が高度になると関節の機能に障害を感じたり、手の指にしびれを感じたりすることもあります。

斜頚

頸が斜めになってしまうことを指します。出産時から頸が傾いている場合は適切な治療と観察が必要です。掛かり付けの産婦人科、小児科の先生に相談してください。今までまっすぐだった頸が傾いた(痛くて傾いてしまう)場合は、炎症や神経の障害が原因で頸の筋肉のバランスが崩れています。原因を見極めた上で治療を行う必要があります。

母趾種子骨障害

足の親指の付け根には骨に沿うように種子骨という2つの小さな骨があります。お膝の皿と同じようなもので、衝撃を分散し関節を効率良く動かす為に役立っています。ジョギングやダンスなどつま先に繰り返し衝撃の掛かるスポーツなどを続けることで、この種子骨に炎症を起こしたり、疲労骨折を起こしてしまうことがあります。適切な治療を行わないと痛みが残りますので受診してください。

シンスプリント

走ったりジャンプしたりした時の足への衝撃が繰り返されることで「すね」の骨が炎症を起こした状態です。運動時の衝撃で「すね」の骨が傷つき、それが修復されては、また傷つきを繰り返すことで腫れて熱をもち痛みを感じます。悪化すると骨折することもあります。適切なトレーニング内容とセルフケアを行うことで運動しながら治癒することも可能です。

ジョーンズ骨折

サッカー競技者に多い、一番外側の中足骨の疲労骨折です。体重が掛ったときや走るときに足裏や足の小指の付け根、足の甲の外側に痛みを感じます。非常に治り難い骨折で、適切に治療しないとパフォーマンスが著しく低下します。

マーチングフット(行軍足)

長時間歩いたり走ったりすることで起こる中足骨の疲労骨折です。症状としては体重が掛ったときの足の甲の痛みが一般的です。足首が痛いような気がする人もいます。適切に治療しなければ骨は変形治癒し痛みが残ってしまいます。

アキレス腱周囲炎

踏み蹴る動作(走る、ジャンプする、背伸びする)を繰り返すことなどでアキレス腱やその周囲に炎症が起こった状態です。運動前に充分なストレッチが出来ていないと軽い散歩でも発症することがあります。運動前後にストレッチを行う、テーピングやサポーターを使用する、アイシングを行う、などのセルフケアを適切に行えばトレーニングレベルを落とさずに治療出来ます。

足底腱膜炎

走ったりジャンプしたりが多かったり、長い距離を歩いたりすることで足裏のアーチを支えている足底腱膜に炎症が起こった状態です。5本の足指の付け根から踵の内側に走る腱や踵に強い痛みを感じます。足底板装具などで治療を行いますが、仕事やスポーツを継続しながら治すためには負担を軽減する工夫と自己管理が重要ですので、医師やリハビリスタッフの指導を受けることをお勧めします。

股関節インピンジメント

股関節を構成する大腿骨と骨盤の骨の形が少し余分に膨らんでいたりして、股関節を深く曲げたり大きく動かした際に、大腿骨と骨盤がぶつかって関節唇や軟骨が障害され痛みが出ます。スポーツなどで繰り返し組織にストレスが掛かったり、小さな外傷の繰り返しなどで関節唇や軟骨が損傷されている可能性があります。年齢と共に股関節の骨が変形してきて、それが関節唇や軟骨に損傷して引っ掛かりや痛むこともあります。

関節唇損傷

股関節が外れたりしないように関節には関節唇をいう縁取りをする軟骨の壁があります。スポーツなどで股関節に強い力や速く大きい動きでストレスが掛ると、この関節唇に負担が掛ることになります。練習量が多過ぎたり、股関節の負担が大きい動きを繰り返すと、関節唇が損傷して痛みを出したり、引っ掛かりを感じるようになります。適切なストレッチとコンディショニング、トレーニング内容の調整でスポーツを続けながら治療が可能です。

腰椎すべり症

脊椎の骨は体の柱になるように緩やかなカーブを持って縦に一列に並んでいます。この脊椎の1つがずれてすべってしまうのがすべり症です。1つの椎体がすべるとその椎体から上は全て一緒に動きますので、変形するのは1ヵ所です。脊椎の後ろには神経の通り道になるトンネルがあり、すべり症ではすべった部分でこのトンネルが狭くなります。神経を圧迫するほど狭くなると足にしびれや痛みを感じたり、力が入らないなどの神経症状が起こります。すべり症の原因は先天的なもの、分離症が原因となるもの、変性が原因となるものなど様々ですが、どれも数年~数十年かけて変化していますので、整体やマッサージで矯正しようとするのは、盆栽の松の曲がった枝を無理やりまっすぐにするのと似て危険です。

梨状筋症候群

下肢に放散する神経性の痛みは坐骨神経痛と呼ばれ、椎間板ヘルニアなどで出現することが多いのですが、お尻の筋肉のひとつである梨状筋が坐骨神経を圧迫することでも起こります。「神経痛だからヘルニアだ」と早合点せず、原因をしっかり見極める必要があります。

いわゆる腰痛症

腰痛というのは様々なことが原因となって起こります。椎間関節、椎間板、椎体を支える靭帯、筋肉など腰にあるものだけでなく、お尻や太ももの筋肉や骨盤の中の臓器などが原因となることもあります。「いつもの腰痛」と考えずに一度受診してみて下さい。

腰椎分離症

腰椎はだるま落としのように椎体が積み重なっています。椎体はお互いを椎体の後ろから出るでっぱりで支え合っていますが、繰り返し掛かる負担でこの支える骨が疲労骨折してしまうことがあります。14歳前後の成長期に多いスポーツ障害ですが、生れつき分離がある方や一度患ったときに治癒せずに残った方は、成人してからも腰痛の原因になることがあります。

椎間板障害

椎間板は腰椎の間にあるクッションのような存在です。運動や労働で腰椎に負担が掛ると椎間板が耐えきれなくなり壊れることがあります。傷んでくると椎間板は潰れ痛みを出します。また、支える腰の筋肉に痛みを感じたり、腰の張りが気になったりすることもあります。早期であれば、休養と減負荷で軽快することもあります。椎間板ヘルニアになることもありますので注意が必要です。

椎間板ヘルニア

腰椎の骨と骨の間にある椎間板がはみ出して神経を圧迫することで起こります。症状は臀部や太ももの後ろ、ふくらはぎ、などに痛みや痺れ、違和感や脱力感として出ることが多いです。MRIでヘルニアの有無が確認できますが、MRI画像で椎間板がはみ出していても症状がなく、運動やスポーツを休止する必要がないことも多いです。腰痛は椎間板ヘルニアの症状ではありません。

半月板損傷

膝を捻ってしまったり、着地などで激しい衝撃が加わったり、長時間走ったりして繰り返し膝に衝撃が加わると、膝の関節の中にあるクッション「半月板」が傷つくことがあります。

 初期は運動時やしゃがんだときの鈍い痛み程度ですが、損傷が進むと、動かすと痛い、膝が腫れる(水が貯まる)、引っ掛かる、などの症状が出てきます。

 こうなると使う度に上下の軟骨も傷むので早めの治療が必要です。半月板は血の巡りの良くない治り難い組織なので自然回復は期待せず、おかしいと感じたら早めに整形外科を受診しましょう。

 

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オスグット病

ジャンパー膝に含まれる疾患です。成長期には、膝を伸ばす大腿の筋肉の力が伝わる膝蓋腱の付着部のすぐ下に成長する骨を作っている骨端核があります。骨端核は成長過程の骨で大人の骨ほどの強度が無く壊れやすいのです。成長によって骨が伸び相対的に筋肉が緊張しやすい成長期に、スポーツ活動などで膝を伸ばす筋肉により繰り返し牽引力が掛かることでこの骨端核の部分に炎症が起こり、膝の皿の下、脛の骨に痛みと腫れが生じ、悪化すると脛の骨が飛び出してきます。運動前の十分な大腿の筋肉のストレッチや運動後のストレッチとアイシングなど適切なケアでスポーツを継続しながらでも症状が改善可能なことも多い疾患です。

鵞足炎

膝を曲げるための筋肉は大腿の後ろにあります。この筋肉の一部は膝の内側の脛の骨に付いていて、走ったりジャンプしたりというスポーツなどで繰り返し負担が掛かると、この筋肉の腱が脛の骨に付く部分「鵞足」に炎症が起こります。ちょうど膝の関節の内側なので皆さんには膝の内側の痛みと感じられると思いますが膝関節の問題ではありません。運動前後のストレッチやアイシングなど適切にケアすればスポーツ活動を続けながら治癒することが可能です。

腸脛靭帯炎

ランニング、ジョギングなどで良く起こる障害として知られています。大腿の外側を支える腸脛靭帯の緊張が高い状態で繰り返し負担が掛かることで発症します。O脚であったり、膝の屈伸が多い活動をしていたり、硬い靴底の靴で歩いたりといったことが原因になります。腸脛靭帯の緊張を緩めるストレッチやアイシングなどのセルフケア、運動負荷の調整で治療可能な疾患です。

前十字靭帯損傷

ジャンプの着地で膝を捻ったり、不自然な姿勢で膝を強く踏ん張ったりして損傷することが多い外傷です。

損傷しても、それほど痛みがなく歩けることも多く、気付かずに放置されていることもあります。走ったり方向転換する際に、膝が不安定な感じ、外れそうな怖い感じ、膝崩れといわれる「膝が抜ける」ような感じで転びそうになる場合、この怪我が疑われます。

膝関節が不安定になっているので、運動後に膝が腫れたり、痛むこともあります。不安定性が酷い場合や、激しいスポーツをする場合などは手術を行い靭帯を再建しますが、リハビリと筋肉トレーニングだけでスポーツに復帰出来るケースもありますので怖がらずに専門医にご相談ください。放置例を作らないためにも膝を強く捻ったと思ったら、添え木などで固定し、氷バッグなどで冷却、圧迫して、すみやかに整形外科を受診しましょう。

膝蓋大腿関節症

日常生活(とくに階段の昇りなど)やスポーツ活動で繰り返し、膝蓋骨と大腿骨の間の関節に負担がかかることで起こります。

膝蓋骨と大腿骨の間の関節が徐々に擦り減っている状態です。サポーターや杖の使用、大腿四頭筋のストレッチと膝周囲の筋肉の適切なトレーニングや運動制限で症状が改善可能です。外来で行う関節内へのヒアルロン酸ナトリウムの注入が非常に有効です。注射は嫌いという方も適切なセルフケアを指導しますので是非受診してください。

たな障害・滑膜ひだ障害

関節は袋状になっていて中に潤滑液として働く関節液が入っています。この関節の袋にはひだがあるのですが、そのひだが動いている関節に挟まってしまったり、骨のでっぱりに引っ掛かったりして痛みを出すことがあります。

抗炎症薬を使って一時的に運動を制限するだけで改善することもありますが、炎症が長引いてひだが肥厚すると関節鏡で邪魔なひだを切除しないと改善しないケースもありますので早めに受診しましょう。

 

膝蓋軟骨軟化症

10代20代の若い方で、スポーツや力仕事など力が入る膝の曲げ伸ばしが多い人や、元々膝蓋骨と大腿骨の間の関節の形や動きに問題があった人に見られます。

膝蓋骨の軟骨が軟化したり亀裂が入ったりして、立ち上がりや階段の昇りなど膝を伸ばす際に膝蓋骨の周囲に痛みを感じます。

大腿四頭筋のストレッチと運動制限、サポーターの使用などで症状が改善しますが、たな障害など他の疾患との鑑別が必要なので早めに受診しましょう。

内側(外側)側副靭帯損傷

転倒や無理な姿勢で膝を捻って受傷します。動かすと膝の内側(外側)に痛みがあり、外(内)に反らすような力が掛ると強い痛みを感じます。

 
損傷が酷くなると腫れと青なじみ(内出血)が出現し、膝が不安定でグラグラしたりします。
 
この靭帯は治療するとちゃんと治るのですが、放置して運動を続けたり、治療を開始するのが遅れると、不安定になったり痛みが残ったりします。
 
膝を強く捻ったと思ったら、添え木などで固定し、氷バッグなどで冷却、圧迫して、すみやかに整形外科を受診しましょう。

膝蓋骨脱臼・亜脱臼

膝の曲げ伸ばしの際に膝蓋骨が外に外れそうになる状態です。ポコッ(バキッ)と音がして膝の皿が外れたように(実際に外れていますが)感じ歩けなくなったりする人もいます。

元々外れやすい骨の造りの方や、筋肉のバランスが悪い方、外傷(ケガ)が原因で外れるようになった方など原因は様々で原因に応じた治療が必要です。専用のサポーターなどもありますが原因に応じて治療をする必要があります。

ジャンパー膝

膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋は膝の皿(膝蓋骨)に付きます。その膝蓋骨から脛骨に太い腱(膝蓋腱)で繋がっていて、走ったり跳んだりするときにはこの膝蓋腱が脛骨を引っ張って膝を伸ばしています。

 スポーツなどで繰り返し負担が掛ると、膝蓋腱を中心に脛骨の上端近くや膝蓋骨の下端などに障害を起こすことがあります。

 ジャンプしたり走ったりする時に膝の皿の下が痛い場合や、腫れたり熱を持つ場合はこの障害を疑います。運動などで使う前後には良く大腿四頭筋のストレッチをし、使った直後にはアイシングを行いましょう。

 成長期では膝蓋腱の付く脛骨が成長途上であり、オスグット病と呼ばれる成長障害を起こすこともあります。成人でもスリーブ骨折という厄介な骨折を起こすこともありますので、症状が出たら早めに整形外科を受診しましょう。 

 

スキー母指(側副靭帯損傷)

スキーで転倒して母指を引っかけたようになって受傷することが多くこの病名があります。走っていて転倒し母指をついたり、何かを握ったまま転んだりすることで母指の横を支える靭帯が断裂します。靭帯はレントゲンに写りませんので単純なレントゲン撮影のみでは異常が指摘されません。横の支えとなる靭帯が断裂しているので母指は横方向に不安定になり、適切に治療しなければ不安定なままになってしまいます。母指に限らず、どの指でも側副靭帯損傷は起こります。「骨折はない」と言われても腫れが引かない、動かすと痛いという場合は整形外科医に相談してください。

つち指

突き指などの急な外力によって無理に指先を曲げられ、指を伸ばす腱が指先に近い部分で損傷すると、指先の関節が自分では伸ばせなくなります。それほど強い痛みを感じず後で気付くこともあります。損傷した腱の状態やスポーツ活動の内容によって治療を決定しますが、時間が経ってからでは治療が難しくなりますので、異変に気付いたら速やかに受診しましょう。

上腕骨外上顆炎(テニス肘)

テニスのバックハンドなどで手首を反す筋肉を使い過ぎて、筋肉の付着部(起始)に炎症が起こった状態です。指を伸ばしたり、手首を反したりすると肘の外側に痛みが出ます。運動をしていなくても、仕事でいつも鞄を持ったり、長時間キーボード入力したり、子供を抱いたりすることでも起こることがあります。早期であれば適切なストレッチと筋肉への負荷の軽減で症状は改善しますので早めに受診しましょう。

離断性骨軟骨炎

投球など腕を速く強く振る動作では肘に外に反る強い力が掛ります。この力によって肘の関節の軟骨が剥がれ落ちるような損傷を起こすことがあります。症状としては投球時や投球後の痛みで、剥がれ落ちた軟骨の欠片が関節に嵌って、引っ掛かったり動かせなくなったりすることもあります。初期に発見することが重要ですので気になったらすぐに受診しましょう。

肘頭滑液包炎

頬杖や匍匐前進など肘をついて体重を支えたり、繰り返しぶつけたりすることで肘の関節の上にある滑液包に炎症が起こり、滑液が貯留します。肘の後ろにプヨプヨした水溜りが出来たようになります。刺激しないようにすることで軽快することが多いですが、細菌が入ったりして強い炎症を起こすこともありますので一度整形外科医にご相談ください。

野球肘

肘は曲げ伸ばしをする関節で横には動きませんが、投球動作では肘関節に外に反らすような強い力が掛ります。繰り返す投球動作によって、肘の内側には引き延ばすストレスによる靭帯や骨の障害が起こります。肘の外側には外に反って関節に掛かるストレスが増すことによって軟骨の障害などが起こります。野球肘といっても野球に限らず、ラケットスポーツでも起こります。肘の機能や理学所見、レントゲン、MRIなどの診察所見だけでなく、投球フォームや練習内容なども検討し治療を考える必要がありますので、スポーツドクターに相談しましょう。

SLAP病変

腕を振る際に腕に掛かる遠心力が、上腕骨(腕の骨)を肩関節に引き付けておく筋肉の力を超えてしまうと、腕を振る際に腕の骨は関節の中を暴れまわることになります。肩甲骨の関節窩の上側を支える軟骨や軟部組織が、暴れる上腕骨の骨頭によって関節窩から剥がされてしまうのがSLAP病変です。適切なフォームで運動を行うことや、肩関節周囲の筋肉のバランスを改善することで症状が改善することも多い疾患です。

反復性肩関節脱臼

肩関節の脱臼を繰り返す疾患です。関節支持組織が充分に修復されていないなどの理由で容易に脱臼してしまうため、再脱臼を予防するために手術を行います。気をつければ再脱臼せず生活に支障ないケースでは、リハビリで肩関節を支持する筋肉をつけて再脱臼を予防します。

動揺性肩関節

もともと関節を支える筋肉や軟部組織が弱かったり柔らか過ぎて、肩関節の脱臼、亜脱臼を繰り返す疾患です。不安定な感じ、怖い感じや、疲れやすい、腕全体がだるいなどの症状があります。肩関節を安定させる筋肉をつけ、筋肉のバランスを改善することでほとんどの方が改善します。

インピンジメント症候群

腕を振り上げ振り下ろす際に、肩甲骨と上腕骨(腕の骨)の間に挟まれる形で負担の掛かる腱板や肩峰下滑液包に炎症や損傷が起こった状態です。適切なフォームで運動を行うことや、肩関節周囲の筋肉のバランスを改善することで症状が改善することも多い疾患です。

投球障害肩

投球に限らず、ラケットスポーツなど肩を大きく振るスポーツでも起こります。インピンジメント症候群、SLAP病変、腱板断裂、腱板炎、動揺性肩関節など様々な病態が含まれており、専門医が注意深く診察し、MRI、X線などの画像と併せて診断します。病態によって治療内容、リハビリの内容が全く違うこともありますので、自己判断せず必ずスポーツドクターを受診してください。

石灰性腱炎

腱板に急に石灰(炭酸アパタイト)が沈着し炎症が起こる疾患です。

中高年の方で急に肩関節に激痛を感じた場合、この疾患を疑います。

レントゲン画像で石灰化が明らかになります。関節への注射や内服薬を用いて治療することで劇的に軽快することが多いので痛みを我慢せずに早めに受診しましょう。

腱板断裂

激しい運動で負担が掛かったり、無理な関節の動きや、加齢変化と繰り返し掛かる負荷、外傷などによって肩関節を支える大事な腱板を損傷する疾患です。スポーツや外傷によって大きく断裂しパフォーマンスが低下した場合は、関節鏡を使った腱板縫合手術を行うことがあります。しかし50歳台では10人に1人、70歳台では3人に1人の方に腱板断裂があり、そのうち痛みや動きの制限など症状を訴える方は半分以下です。つまり腱板断裂があっても適切なリハビリを行えば日常生活はもちろんスポーツ活動にも支障ない状態に回復することが可能です。

肩関節周囲炎

一般に四十肩、五十肩と呼ばれる疾患です。肩関節の軟骨や関節周囲の筋肉、腱、腱板は年齢とともに擦り減り傷んでいきます。今もこのくらい大丈夫、と思って少し無理をしてしまうとこれらの一部に炎症が起こってしまいます。肩関節は筋肉、腱が関節周囲で密集して入り組んでいるため、炎症は隣接する周囲の組織に拡大し肩関節の周辺で様々な症状を呈することになります。治療には適切な評価と症状に応じたリハビリが欠かせませんので専門医に御相談下さい。

いわゆる「むちうち」について

「むちうち」というのは本来病名ではありません。怪我の仕方を表現したものです。捻挫では、「内捻り」「外捻り」など、怪我した際の力の掛かり方で壊れるものが違います。「むちうち」というのは一方向ではなく、鞭を打つように前後に(左右に)無理が掛った怪我の仕方を指す言葉で、「交通事故に遭って、時間が経ってから頸に大変な事が起こる」というようなものではありません。いわゆる交通事故の「むちうち損傷」は追突などで頸を前後に揺さぶられて起こる頸の捻挫です。頸の筋肉に強いストレスが掛るのでしばらく頸周りが張ったりしますが、所詮外傷ですので「後でなにか凄い悪いこと」が起こったりはしません。